第17回 株式会社NTTデータ東海 様

事例カテゴリー

株式会社NTTデータ東海 様

米子 康恵 氏
将来のシステム更改まで見据えた保守・メンテナンスにおけるXupper 活用法

10年以上前から設計ツールとしてXupperを採用し、さまざまなプロジェクトで活用してきたNTTデータ東海。過去のXupperユーザ事例紹介セミナーにおいても複数回にわたり、同社ならではの取り組みやそこで得た知見など、有用な情報を発表してきた。今回は、特にシステム更改を考慮した保守・メンテナンスにおけるXupperの活用について、同社法人事業部 開発担当 課長代理の米子康恵氏が紹介した。



長期にわたるシステム保守・メンテナンスに対する課題

 大型プロジェクトでは、時間の経過とともにプロジェクトが縮小していくケースが多い。本番リリースを迎えると保守担当者以外は他のプロジェクトに異動し、さらに保守フェーズに入ってしばらく経つと当初の開発担当者が1 人も残らないこともある。そのため、システム構築時のノウハウが失われたり、ドキュメントの管理方法や維持の統一化が徐々に崩れていってしまう事態が、NTTデータ東海でも多々発生していたという。

 特に長期にわたるシステム保守・メンテナンスにおいては、さまざまな課題が生じてくる。たとえば、初期設計資料の紛失や、逆に同一資料が複数存在することにより、「システムの最新情報が特定できない」といったケースは珍しくない。

 顧客の担当者が他部署から異動してきたばかりで、システムや業務知識が十分ではないこともあるだろう。その際には、相手の知識不足をいかに解消していくかが重要となる。一方、開発側においても、保守担当者の異動・変更が発生することがある。担当者変更後もスムーズに保守・メンテナンスに対応できるように、文書管理方法や業務知識などを誰もが短期間で習得可能な仕組みが必要だ。

 また、メンテナンスには「仕様変更」がつきものだが、その際に影響調査漏れがあると、品質低下や思わぬトラブルを招いてしまう。それらをいかに防ぐかも考えていかなければならない。

 そして、システム構築時の初期導入機能の中には、時間の経過とともに陳腐化し、ユーザに使われなくなるものも出てくる。業務環境の変化に合わせて、継続的にシステムを進化させていくことも求められる。

 こうした課題に対応するためにNTT データ東海がとっているアプローチは、「Xupperに登録された設計情報を常に" 正" とし、保守・メンテナンスを継続することにより、構築当初の品質を維持しつつ業務要件の変化に対応していく」というものだ。

資料の一元管理と標準化で保守・メンテナンスの精度を向上

 続いて米子氏は、保守・メンテナンスにおけるXupperを活用した具体的な取り組みについて説明。まず、基本となるのは、あらゆる資料の一元管理だ。

 NTT データ東海では、業務仕様だけでなく、システム構成図やネットワーク構成も含め、プロジェクトに関わる資料をXupperのリポジトリで一元管理している。初期開発では、ビジネスフロー図やエンティティ関連図といった設計工程のドキュメントはもちろん、製造・試験・移行工程においても各種資料をXupperで管理。

 保守工程においては、操作や運用手順書のほか、問い合わせ一覧の資料も管理しており、過去に顧客からどんな問い合わせがあり、どのように対応したのかなど、保守担当者が変更になった場合にも容易に把握可能だ。また、メンテナンス工程では仕様変更概要書とともに、初期開発ドキュメントの更新履歴を管理。これにより、システムの現状を過去の変更経緯まで含めて理解することができる(図1)。

 また、各ドキュメントの記述内容の標準化も実施。ある程度の基本パターンを習得すれば、異なるプロジェクトでも必要となるドキュメントは認識できることから、複数プロジェクトの保守担当者や新規参画担当者の文書検索時間短縮などに有効だという。

 Xupperの機能では、業務フロー(ビジネスフロー図)を最大限に活用。システム機能だけでなく、手作業の内容や各種注意事項、通常は個人で管理しているメモ書きレベルの情報もすべてXupperのビジネスフロー図に表し、管理することで、顧客との情報共有を視覚的に実施できるようにしている。特に、問題点や改善範囲の認識、メンテナンスにおける抜け漏れの防止に効果を発揮しているそうだ。

 ほかにも、保守・メンテナンスにおけるXupper の活用法として、米子氏はクロスリファレンスによる影響範囲特定や、リポジトリ検索を利用した各種情報抽出による迅速かつ正確な調査などを挙げた。

Xupper適用によるシステム更改のメリット

 初期構築から保守・メンテナンスまで一貫してXupperを活用することで得られる効果としては、現行システムの把握時間が短縮できることや、機能変更時の影響範囲特定が確実に行えること、また、運用フローが常に最新化されているので、担保すべき現行機能とそれ以外の使われていない機能を適切に判断できることなどがある。

 これらの結果、将来のシステム更改時には、現行機能の担保を実施しながらも大胆なBPR(Business Process Re-engineering)の実現が可能になる。もちろん、開発期間の短縮、トータルコストの削減といった効果も期待できる(図2)。

 最後に米子氏は、保守・メンテナンスにおいてXupperを活用している2 つのシステム更改事例を紹介した。

 1 つは通信会社の稼働管理システムで、現行機器の老朽化に伴うハードウェア更改および各種ミドルウェアのバージョンアップ、機能改善に対する仕様変更を実施した事例だ。保守工程で随時資料を更新していたことにより、実装との乖離がなく、現行機能担保部分の特定や更改部分の設計着手も迅速かつ効率的に実施できたという。クロスリファレンス機能などを最大限に活用し、データの移行も当初の想定より短期間で完了。機能改善についても、修正対応などの漏れがなく、短期間ながら高品質な設計を実現できた。

 もう1 つは初期構築から10 年以上経過した製造業の物流システムで、業務の多様化および組織の統廃合に伴うシステム更改の事例となる。他社が構築したシステムも統合しながら、BPR を含む大幅な機能改善を実施するという大規模なシステム更改であり、すでに保守フェーズに入って2 年半が経過。保守フェーズからの新規参画担当者も数名いるが、システム構築時から蓄積してきたノウハウの展開により、高品質な更改作業を実施できている。また、Xupperでの一元管理によって設計情報のバージョン管理も正しく実施され、保守担当者が情報をアップデートしていくことで常に精度が向上しているという。

*翔泳社「EnterpriseZine」掲載記事からの転載

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