第18回 Xupper事例紹介セミナー 中央コンピューターサービス 様

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第18回 Xupper事例紹介セミナー

JBCC主催「第18回Xupperユーザ事例紹介セミナー」が2014年11月13日に都内で開催された。

上流分析・設計ツールXupperが1994年に誕生してから今年でちょうど20年。今年は、4月にケン・システムコンサルティングがJBCC本体に組み込まれてXupper事業部となり、10月1日からSIイノベーション事業部として再発進した節目の年でもある。

セミナーではまず、中央コンピューターサービス ネットワークサービス事業部 取締役部長の所達也氏が登壇。続いて、明治座 業務管理室 室長でDAMA日本支部の広報担当理事の赤俊也氏が講演し、最後に、日本電気のSIサービス&エンジニアリング統括ユニット プロジェクト・マネジメント統括本部の大場彰夫氏が講演した。

中央コンピューターサービス株式会社 取締役部長 所 達也氏

工期短縮、コスト削減、品質向上を実現するポイントとは?

ビジネス環境が急激に変化するなか、一部のスーパーエンジニアに頼ってITを構築し運用することが難しくなってきた。属人化が課題となって、変化への対応力を失うリスクもある。中央コンピューターサービスの所氏は、「業務システムの保守における納期短縮・コスト削減・品質向上への取り組み~ Xupper 採用の背景とポイント~」の講演を行い、同社に存在したITの課題を、Xupper採用でどう乗り切ったのかを解説した。

自治体向けソフトを30 年にわたって開発

 中央コンピューターサービスは、北海道・中標津に本社を置く従業員55 名のソフト開発ベンダーだ。人口数千人規模の地方自治体向けに、総合行政システム「TAWN」を提供している。TAWNは1985年にオフコン版として開発・販売され、1994年にPC 版、2010 年にWeb 版がそれぞれ開発された。

 時代にあわせてプラットフォームと機能の改善を重ねることで、大手ベンダーには相手にされにくい小規模自治体に30 年にわたって支持され続けてきた製品だ。だが、そうした長きにわたる製品開発のなかで、システムの巨大化やメンテナンス性の悪化を招くようになっていたという。

 そこで、2010 年にXupper を導入し、上流工程の手法、手順の統一化や設計手法の標準化を進めた。その結果、「工期短縮」「コスト削減」「品質向上」という3 つの目標を達成することができたという(図1)。「保守性や品質が以前にくらべて格段に上がった。選んで本当によかったと思っている」と所氏。所氏は講演で、同社がこうした取り組みを進めるうえで、何が課題になり、どう解決したのかのポイントを具体的に紹介していった。

*図1Xupperが実現する3つの目標

新入社員からも"ダメ出し"された開発体制

 行政システムは、規模に限らず、自治体運営に求められる機能を等しく実装していく必要がある。たとえば、最新のWeb版の「Web-TAWN」は、住民記録、国民年金、選挙などの住民情報システム、介護保険などの福祉情報システム、人事給与などの内部情報システム、上下水料金などの生活情報システム、住民税などの税務情報システムで構成される。画面数は3500 枚、帳票数は900 枚、テーブル数は1900 件、管理項目は2 万件といった規模だ。

 「求められる機能をとにかく早く実装して提供することに努めてきた。現場にヒアリングしたその場で画面をつくったこともある。機能が頻繁に追加されるため、マニュアルを残すことも少なかった。少数精鋭だったこともあり、それでも回っていた」

 しかし、開発から20 数年後、中途入社のSEから直接ダメ出しがきた。ドキュメント管理がずさんで、基本設計書もなく、データベースも正規化されていないといった、根本的な開発体制の見直しを迫るメールだった。なんとかしなければという危機感にかられた所氏は、課題をリストアップ。ドキュメントや設計、データベースの見直しのほかにも、OSのバージョンアップへの対応、市町村合併による市町村の減少による売上減、業務システムの巨大化、度重なる法改正と保守、スーパーSE の退職による開発体制の維持など、さまざまな課題が山積していた。

課題解決のカギは属人化の排除

 所氏は、Web 版TAWN の開発にあたり、プロジェクトの目標として、工期短縮、コスト削減、品質向上を掲げた。さらに、課題解決のカギは、属人化の排除にあると見定め、上流工程と下流工程の改革、設計・保守用ドキュメントの体系化、設計・保守ドキュメントの情報化、DB設計の最適化を図ろうとした。そこで、検討事項になったのがCASE ツールの導入だ。

 CASE ツールに求めた要求事項は、大きく6 つ。具体的には、(1)上流工程の手法、手順が確立、統一できること、(2)業務分析、設計手法を標準化し品質および保守性の向上が望めること、(3)開発スタッフ全体のスキルの平準化が図れること、(4)情報の共有化が図れること、(5)容易に操作、運用ができること、(6)導入コスト、ランニングコストが導入メリットに見合うことだ。

 「こうした要件を満たすツールというのは実はほとんどない。特に、われわれが抱えていた課題を解決できそうなソリューションはXupper以外になかった」(所氏)

 所氏によると、Xupper採用で大きなポイントとして、機能が充実していること、さまざまなアプリケーションとの連携実績があったこと、国産ツールであったこと、API などの独自開発が可能だったことを挙げた。

 「運用をはじめると想定外のことが起こる。国産ツールであり、独自開発ができるとそれらに柔軟に対応することができることは大きい」(所氏)

 実際、運用を開始してから、Xupper とExcel による設計書作成が平行していた時期があったが、JBCC の協力をえてExcel からのインポート機能を独自開発して、乗り切ったという。

工数見積や製品品質の向上にも使いたい

 導入後は、CASE ツールの要求事項に掲げた6 つの点について、大きな成果を出しているという。特に、上流工程の手法や手順の統一化、設計手法の標準化は、工期短縮やコスト削減に直接効いているとのこと。また、人の入れ替わりなどの際にかかる教育コストについても、これから大きな効果が現れてくるだろうとした(図2)。

 今後の展開としては、大きく2 つの取り組みを紹介した。1 つは、工数見積精度の向上とスピードアップだ。具体的には「Xupper で作成した設計情報をもとに影響する画面数や入出力項目などを自動算出できるようにし、見積もり提示へのレスポンスを上げる」ことを考えている。もう1 つは、製品品質の向上とスピードアップだ。「画面、帳票、DB などに関する情報をもとに影響箇所の洗い出しやテストケースの自動作成、自動実行などを行う」計画だ。

 最後に所氏は、「これまでのやり方と変わると、面倒なことが増えたと思い、手法変更に抵抗する人もでてくる。その場合は変更した手法をただ押し付けるのではなく、手法を変更する目的をしっかりと伝えていくことと同時に、現場の声にも十分耳を傾けることが大事だ。また、ツールは目的を達成するための手段でしかない。課題を明確にして、それを乗り越えていくことが大事だ」と話し、講演を締め括った。

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