第14回 Xupper事例紹介セミナー:パネルディスカッション

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第14回 Xupper事例紹介セミナー:パネルディスカッション

設計情報の一元管理を推進する意義とこれから取り組むべき課題

セミナー最終セッションでは、「設計情報の一元管理で防ぐ『動かないコンピュータ』」と題したパネルディスカッションを実施。事例紹介に登壇した平末氏、森下氏のほか、日本電気ITサービスビジネスユニット OMCS事業本部 主席主幹の大場彰夫氏、ケン・システムコンサルティング 取締役 技術本部長の本村智之氏が参加し、Xupperによるモデルドリブン開発の有効性やこれからの取り組みについて意見を交わした。

パネルディスカッション

複雑な仕様変更への対応で効果を発揮

 事務作業を代替するためのツールからビジネスの中枢を担う戦略的な武器へITシステムは企業内でのポジションを大きく変化させてきた。システムに携わる身としては大いに喜ぶべきことではあるものの、ビジネスと密接に関わるということは常にその変化に対して柔軟な対応を求められるということでもある。

 いったん要件を固めた案件がプロジェクト期間中に大きく変化することも珍しくないことは周知のとおりだ。


 NECの大場氏が手がけた大規模開発案件では、やはりビジネス的な要求の変化に対応するべく、プロジェクト開始後にシステム化の範囲が「コード数にして2~3 倍」という規模で拡大した。

 「サブシステムの追加のほか、組織が大きいこともあり、業務フロー図作成後のユーザーへの説明で部門ごとに異なる要件がどんどん増えていったことも原因として挙げられる。

 仕様変更が発生するたびに影響範囲を調査しなければならなかったが、ソースコードをチェックするのではなく、Xupperによる影響分析を徹底したことで、調査漏れを防ぐことができた」(大場氏)。


 IBMの森下氏もシステム変更に対するXupperの有効性を体験している。20000ファンクション規模の官庁向けシステム開発プロジェクトを担当した際には、約200 名の要員を投入し、毎週500ファンクションのペースで開発を進めると同時に1000ファンクションの修正に対応したという。

 影響範囲の調査からコードの自動生成までXupperとMDFrame/Xをフル活用して凌いだという同プロジェクトは、結果的に1週間当たり1500ファンクション相当の工数が発生していたことになるが、「品質的には、バグ発生率0.1%未満に抑えることができた。これは明らかに、設計情報とコードの整合性を確保しながら開発を行ってきた成果と捉えている」(森下氏)。


 このような仕様変更時における影響分析や、設計情報とソースコード間の整合性確保は、XupperおよびMDFrame/Xが提供する代表的なメリットと言えるだろう。

パネルディスカッション

継続的な利用によって得られるメリット

 こうした即効性のある効果のほかに、継続的な利用によって得られる効果もある。それは、リポジトリに蓄積した情報を組織全体の資産として共有し、再利用できることだ。「我々がXupperによる設計情報の一元管理に取り組む最大の目的はそこにある」と、NTT データ東海の平末氏は語る。


 「終了したプロジェクトを振り返り、そこから得た教訓を次のプロジェクトに継承するというのは、相当意識が高い人でなければ実行できないこと。それが、特別意識することなく、『作業の一環』としてリポジトリに入れておくだけで誰でも容易に実行できるのは、非常に大きなメリットだ」(平末氏)。


 ただし、Xupperを導入したすべてのユーザーが、このような効果を上げているわけではない。ケン・システムコンサルティングの本村氏は、次のように話す。「継続的に利用していく中で得られる効果も大きいのだが、やはり短期間である程度の導入効果が得られないと見放されてしまうケースも、残念ながらある。

 Xupper を16年間担当してきた経験から、個人的には、お客様がXupperを有効に使えるかどうかの鍵は、データ項目にあるのではないかと感じている。データモデルとユーザーインターフェイスの双方でしっかりとデータ項目を定義されているお客様は、その後も有効に活用されているように見受けられる」(本村氏)。


パネルディスカッション

Xupperをより有効なツールへと進化させるために

 これまでケン・システムコンサルティングでは、継続的なバージョンアップやアドオンによって、Xupperの機能拡充を図ってきた。そこにはユーザーの声が色濃く反映されており、現在も様々な新機能の開発が計画されている。森下氏が自身の事例紹介セッションの中で取り上げた「IPOエディター」も、その1 つだ。


 「設計情報を確実に下流のアクションダイアグラムまで反映し、プログラムに落とし込むためには、現状のXupperの機能ではまだまだ不十分。そこで、IPOエディターの開発をケン・システムコンサルティングにお願いした。

 ただ、Xupperですべてをカバーする必要はないと考えている。例えば、Xupperには変更履歴管理の機能がないが、IBM Rational Team Concert のRational DOORS のように設計書の履歴を容易に追跡・管理できるリポジトリを持っているツールとうまく連携させるという方法もあるはず。

 最終的な目標はシステム開発プロジェクトを成功させることなので、今後も特定のツールに限定せず、様々なツールの長所を活かしながら、有用なソリューションを模索していきたい」と森下氏は今後の目標を語った。


 実は大場氏も、森下氏と同様に、Xupperの新機能開発についてケン・システムコンサルティングとの間で調整を重ねているところだという。「私も、上流の設計情報をいかに下流工程へと確実につなげていけるかが、やはりこれからの大きな課題だと感じている。

 今、ケン・システムコンサルティングにお願いして取り組んでいるのは、テストの自動化。上流で設計した内容をべースにテスト仕様書を自動生成し、テストスクリプトを自動実行する機能を、Xupperにアドオンして使える形にしたいと考えている。

 他にも、日本語で書いた設計書の内容を極力そのまま手を加えずにコーディングまで落とし込むための仕組みなど、取り組みたいテーマはたくさんある。まずはテスト自動化の機能を実現して、次回のセミナーでご紹介できるようにしたい」(大場氏)。


 両氏の発言を受け、最後に本村氏は「Xupperには、まだまだ改善すべき点が多いと認識している。現在お二人が取り組まれている機能のほか、以前から開発に取り組みながらまだ実装できていない機能もあるが、今後も皆様のご意見を参考にさせていただきながら、お客様のシステム開発業務に少しでも貢献できるように、Xupperをより有効なツールへと進化させていきたいと思う」と締めくくり、セミナーは盛況のうちに幕を閉じた。



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